三浦一族の(ちく)鹿(ろく)(せい)戦記(せんき)

 

 

頼朝、政子、義連、義盛、

義村、景時 の大冒険

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人知れず

 

吾妻(あずま)(さと)にも時過ぎて

 

 

相模の武士(もののふ)流露(りゅうろ)する。

 

 

遂には(ひのき)舞台(ぶたい)に躍り出て

 

華美(かび)絢爛(けんらん)たる(かじ)()りで

 

 

まっこと見事に(きら)めけり。

 

 

しかも壮丁(そうてい)達面々に(おさ)めるは

 

 

「死なば、土器(かわらけ) 」

 

 

 

第1章 白羽の矢

(頼朝と三浦一族との、出会い)

 

第2章 海蛇伝説

(驚嘆する、三浦の技術、技能)

 

第3章 三浦の里

(桃源郷のような、穏やかな国)

 

第4章 文覚和尚

(政治とは、国とは、頼朝の師)

 

第5章 京への船出

(義経、木曽義仲との再会)        

 

第6章 海賊連合 

村上水軍、松浦賊、女真賊)

 

第7章 シャングリラは、大陸

(頼朝と三浦一族、大陸に渡る)

 

第8章 頼朝の恋

(遊び好きな頼朝が、恋をす)

第9章 清盛、死す

(武士社会を創った、尊敬の敵)

 

第10章   一時の春

(政子と頼朝、三浦一族)

 


 

     あらすじ

 

 

 暗い伊豆の海に、寄り添う

よう、ひっそりと建っている

漁師小屋。

 

 中には、数人の年寄りが

り果てたように、顔を

見合わせている。

 

 そこへ割って入ってきたのが、先ほどから暗闇で

盗み聞きを

 していた、頼朝達だった。

年寄り達の窮地を救ってあげ

ようと、いうのだ。

 

 うら若い漁師の娘達が生贄

 として差し出されると、

いうのである。

 好色の頼朝達にとって、久 

しぶりの暇つぶしだった。 

 

暗い磯伝いを急いで、

頼朝達は指示された

 やぐらに着いた。そこには、海蛇が目を光らしている。

 

確かに、うら若い娘たちと無頼どもが、(うたげ)

 を開いているが、生贄いけにえというよりは、結構楽し気に、

 奇声を上げている。

 

 それでも、近くの見張りを(つか)まえて、首領を

 呼びに行かせた。

 

奥から、ブツブツ文句を言いながら出てきた

 のは、頼朝達より、一回りは若い無頼、2人

 だった。義村とマサである。

 

押し問答のすえ、先に刀を抜いたのは頼朝

 だった。

 

西においては、戦陣に出た

こともある頼朝の

 刃は、義村を雑作もなく

切り付けた。

 

不思議なことに、義村は倒れることなく、

 驚く頼朝の懐に小刀を突き付けていた。

 

彼らは鎖帷子(くさりかたびら)という、鉄の網で出来ている(よろい)

 を着ているのである。

それも、かなり薄く、

 滑らかで、繊細な作りは、

絹の様な輝きを見

 せていた。

 

 マサは、すかさず岩を見つけると、頼朝の

 頭を殴り、倒した。やっと、奥から十郎達が

 現れる。

 

「何を、手こずっているのかな? 」・・・

 

 気絶をした頼朝を船に乗せ、十郎達は伊豆

 を離れた。海蛇と見間違えた船は、細身で、

 骨は全て<鉄>で出来ている。暗い海でも目

 の様に光り照らしている

<油>。かいちょうの流れ

 を熟知している知恵に、頼朝は驚きっぱなし

  である。


   長老のよしあきは源氏贔屓びいきで、

毎日、頼朝をもてな

)

 していた。

 

 そこへ現れたのが、

もんがく和尚である。

 元々、頼朝と文覚和尚は同じ伊豆に配流はいるされて

 いて、数年来の知り合いではあった。

 

文覚和尚の武家社会と皇族社会、律令国家

 と王朝国家、天皇親政と上皇院政、人別課税

 と土地課税、権門けんもん荘園そうえん公領こうりょうせい百姓撫ひゃくしょうぶみん

)

 と矛盾、等の話は頼朝や十郎たちに、十分な

興味を抱かせ、結果、皆で京へ行ってみよう

 と、いうことになった。

 

 年も変わり、春の良き日に、一行は京へ旅立った。

 

佐助こと源頼朝、平三(へいぞう)こと梶原景時、十郎

こと佐原十三郎、小太郎こと

和田義盛、ムラ

 とマサ、それに白山羊とドラ猫の二匹連れが

 

今回のメンバーである。

勿論、旅の足は海蛇船

で、先ずは駿河するが

寄港した。

その後、木曽義仲

義経と会合し、

清盛、後白河院と拝謁し

京都から瀬戸内海

九州から大陸までも

船旅であり、大冒険の

物語なのです。

 

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